関西大学ラグビーリーグにおいて、長い歴史と伝統を誇る立命館大学体育会ラグビー部。古豪からの脱却、リーグ優勝、そして近年の再建期を経て、チームは今、新たな黄金期を迎えようとしています。特に2025年春季トーナメントでの初優勝は、復活を印象づける大きなニュースとなりました。この記事では、チームの歴史を築き上げてきた歴代監督たちの手腕と、2026年度に向けた最新のチーム状況を深掘りします。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 創部 | 1929年(昭和4年) |
| 主な戦績 | 関西大学Aリーグ優勝3回(1946, 2001, 2013) |
| 拠点 | BKCグリーンフィールド(滋賀県草津市) |
| 2026年の注目 | 小寺亮太ヘッドコーチ体制でのリーグ制覇 |
立命館大学ラグビー部の歴代監督とチーム再建の軌跡
立命館大学ラグビー部の歴史は、挑戦と改革の繰り返しでした。古くは1929年の創部に始まり、戦後の初優勝、そして低迷期を経て、2000年代以降の強化策が実を結んできました。ここでは、チームの運命を左右した歴代の指揮官たちと、その時代背景を振り返ります。特に、現代ラグビーに対応するための組織改革と、監督ごとの指導哲学の違いに注目することで、現在のチームスタイルがどのように形成されたのかが見えてきます。
黎明期から戦後の栄光、そして低迷へ
1929年の創部当初、立命館ラグビーは関西の雄としてその名を轟かせました。特に1946年(昭和21年)には、戦後すぐの関西大学リーグ(当時は4校制)で初優勝を飾り、第一期黄金時代を築きました。しかし、その後は同志社大学や京都産業大学といった強力なライバルの台頭により、長らく優勝から遠ざかることになります。1965年にはBリーグ降格も経験するなど、苦しい時代が続きました。この時期、多くのOBや指導者が再建に尽力しましたが、Aリーグ定着と上位進出という壁は厚く、試行錯誤が続くことになります。
中林正一監督による長期政権と2度のリーグ制覇
立命館ラグビー部の近代化を象徴するのが、中林正一氏(現・チームコーディネーター)の存在です。ヤマハ発動機ジュビロで活躍した元日本代表フッカーである中林氏は、2007年にヘッドコーチに就任し、その後監督として長きにわたりチームを指揮しました。彼の功績は、2001年の55年ぶりとなる関西リーグ優勝(当時は主将やスタッフ陣が奮闘)の遺産を継承しつつ、2013年に再び関西王座へと導いたことです。中林体制下では、フィジカルの強化とセットプレーの安定が徹底され、大学選手権でもベスト8に進出するなど、全国レベルの強豪としての地位を確立しました。
鬼束竜太ヘッドコーチがもたらした「新しい風」
2021年8月、チームに大きな変革が訪れます。宗像サニックスブルースなどで指導経験を持つ鬼束竜太氏がヘッドコーチに就任しました。鬼束氏は、これまでのFW偏重とも言えるスタイルに加え、BKの展開力や戦術的な柔軟性を強化することに着手します。彼は「主体性」を選手に求め、学生自身が考え、判断するラグビーを浸透させようと試みました。2023年シーズンをもって退任するまでの間、結果が出ない苦しい時期もありましたが、選手の意識改革とプロフェッショナルなマインドセットの植え付けにおいて、重要な役割を果たしました。
小寺亮太体制の誕生と2025年春の快挙
2024年春、新たな指揮官として小寺亮太氏(1997年卒)がヘッドコーチに就任しました。小寺氏は就任直後から、基本プレーの精度向上と、80分間戦い抜くフィットネスの再構築を掲げました。その成果は早くも現れ、2025年の関西大学春季トーナメントでは、決勝で強豪・京都産業大学を破り、見事に初優勝を飾りました。これはチームにとって長年の悲願であり、小寺体制の方向性が正しいことを証明する歴史的な勝利となりました。選手たちの自信は大きく深まり、常勝軍団への復帰へ向けた確かな手応えを掴んでいます。
BKC移転と施設環境の劇的な変化
歴代監督の手腕だけでなく、環境面の変化もチーム力向上に大きく寄与しています。1998年に活動拠点を衣笠キャンパスから滋賀県のびわこ・くさつキャンパス(BKC)へ移転したことは、立命館ラグビー部にとって大きな転機でした。2007年には人工芝グラウンド「BKCグリーンフィールド」が完成し、トップリーグ(現リーグワン)並みのトレーニング施設が整いました。この恵まれた環境が、全国から有望な高校生ラガーマンを惹きつける要因となり、歴代監督が高度な戦術を落とし込むための土台となっています。
現代ラグビーへの適応と各監督の指導哲学

大学ラグビーのレベルは年々上がり続けており、単なる精神論や伝統的な練習だけでは勝てない時代になっています。立命館大学ラグビー部もまた、時代の変化に合わせて指導体制をアップデートしてきました。ここでは、近年の指導者たちがどのようにチームを進化させてきたのか、その「哲学」と「戦術」の変遷に焦点を当てます。FWへのこだわりから、ボールを動かすラグビーへ、そして総合力勝負へと移り変わるスタイルを分析します。
伝統のFW戦からトータルラグビーへの進化
かつての立命館といえば、「FWの立命館」と呼ばれるほどスクラムとモールに絶対的な自信を持っていました。特に中林監督時代は、セットプレーで相手を圧倒し、ペナルティを誘って陣地を進めるスタイルが確立されていました。しかし、ルール改正や他大学の大型化に伴い、FWだけでは勝ちきれない試合が増加しました。これに対し、近年の指導陣はBKの決定力向上に注力しています。特に小寺HC就任後は、FWが作ったチャンスをBKが確実に仕留める「トータルラグビー」への移行が進んでおり、攻撃のオプションが大幅に増えています。
学生主体のチーム運営とリーダーシップ
立命館大学ラグビー部の大きな特徴として、学生スタッフ(主務、トレーナー、分析など)の存在感が非常に強いことが挙げられます。監督やコーチはあくまでガイド役であり、日々の練習メニューや試合の戦術分析は、学生リーダーたちが中心となって行います。2024年のラストイヤー企画でも多くの学生スタッフが取り上げられたように、選手以外の部員の献身がチームの勝利を支えています。この「学生主体」の文化こそが、社会に出ても通用する人材を育成する立命館の強みであり、歴代監督が最も大切にしてきた伝統の一つです。
データ分析と科学的トレーニングの導入
現代の大学ラグビーにおいて、データ活用は勝利への必須条件です。立命館でも、GPSを用いた走行距離の管理や、ドローンを使った練習映像の分析が日常的に行われています。これにより、選手のコンディション管理が可視化され、怪我の予防やパフォーマンスの最大化が可能になりました。また、S&C(ストレングス&コンディショニング)コーチの指導のもと、科学的根拠に基づいたウエイトトレーニングが実施されており、当たり負けしない身体作りが進められています。これらの先進的な取り組みは、監督の方針を具現化するための重要なツールとなっています。
激戦の関西大学Aリーグにおける戦績分析
関西大学Aリーグは、天理大学、京都産業大学、同志社大学といった強豪がひしめく激戦区です。その中で立命館大学は、常に上位争いに食い込む実力を維持しつつも、近年は中位に甘んじることが多くなっていました。しかし、2025年の春季トーナメント優勝は、その序列を覆す可能性を示しました。ここでは、ライバル校との関係性や、過去数年の順位推移から見るチームの現在地について詳しく解説します。
「関西の雄」たちとのライバル関係
立命館にとって、京都産業大学と同志社大学は特別なライバルです。特に京産大とは、強力なFWを持つチーム同士として激しい肉弾戦を繰り広げてきました。2025年春の決勝戦で京産大を29-12で破ったことは、長年の苦手意識を払拭する大きな一勝でした。一方、同志社大学とは「伝統校対決」として注目されますが、近年は同志社の低迷もあり、立命館が上位に行くチャンスが増えています。また、絶対王者として君臨する天理大学の壁をどう破るかが、関西制覇への最終課題となっています。
近年の順位推移と昇降格の危機感
2010年代前半の優勝以降、チームはAリーグの中位(4位〜6位)を行き来するシーズンが続きました。特に2019年から2023年にかけては、大学選手権出場枠(3枠)を逃し続け、一時は入替戦の影がちらつくこともありました。2023年シーズンも5位、2024年も5位と、あと一歩及ばない試合が続いていました。しかし、接戦を落としていた過去とは異なり、2025年シーズンからは接戦を勝ち切る「勝負強さ」が戻りつつあります。この変化は、メンタル面での強化と、ここぞという場面での規律の高さによるものです。
大学選手権出場への高いハードルと展望
関西大学リーグから大学選手権に出場するためには、リーグ戦で3位以内に入ることが絶対条件です。近年の関西リーグは天理大、京産大の2強に加え、関西学院大学や近畿大学が力をつけており、3位争いは熾烈を極めます。立命館が選手権に出場するためには、上位2校のどちらかから金星を挙げ、かつ下位チームへの取りこぼしをゼロにする必要があります。小寺体制2年目となる2026年シーズンは、春の自信を秋のリーグ戦に繋げ、久しぶりの大学選手権出場、そして年越し(準決勝進出)を本気で狙える位置にいます。
選手育成戦略とリクルーティングの最前線
強いチームを作り続けるためには、優秀な高校生のリクルートと、入学後の育成システムが欠かせません。立命館大学は、スポーツ推薦制度を活用しつつ、系列校や全国の強豪校から多様な人材を受け入れています。ここでは、どのような選手が立命館の門を叩き、どのように成長してトップレベルの選手へと羽ばたいていくのか、そのスカウティング戦略とキャリアパスについて掘り下げます。
全国から集まる有望な高校生たち
立命館大学ラグビー部には、東福岡、東海大大阪仰星、京都成章、常翔学園といった全国大会常連校からの入部者が絶えません。彼らはBKCの充実した施設や、文武両道を掲げる大学の姿勢に惹かれて入学を決めています。また、近年では外国人留学生の受け入れも戦略的に行っており、チームの国際化が進んでいます。特に、2025年春の優勝メンバーには、下級生の頃からAチームで経験を積んだ選手が多く含まれており、長期的な視点での選手育成が実を結び始めています。有力選手が1年生から活躍できる風通しの良さも魅力の一つです。
リーグワンで活躍するOBたちの存在
立命館大学での4年間を経て、日本最高峰のリーグワンで活躍するOBも多数輩出しています。例えば、コベルコ神戸スティーラーズや横浜キヤノンイーグルスなど、多くのトップチームに卒業生が在籍しています。彼らの活躍は、現役学生にとって大きな刺激となると同時に、高校生にとっても「立命館に行けばプロになれる」という明確なロールモデルとなっています。また、OBたちがオフシーズンにグラウンドを訪れ、直接指導を行うこともあり、縦の繋がりが技術継承の重要なパイプラインとなっています。
人間力形成を重視する教育方針
ラグビーの技術向上だけでなく、人間としての成長(人間力)を重視するのが立命館の伝統です。「Beyond Borders」という大学のスローガンの通り、ラグビーを通じて限界を超え、社会に貢献できる人材を育てることを目標としています。寮生活を通じた規律ある生活や、地域貢献活動への参加など、グラウンド外での活動も盛んです。歴代の監督たちも、単に勝つことだけでなく、「応援されるチーム」「愛される選手」であることを常に求めてきました。この教育方針こそが、企業の採用担当者から高い評価を受ける理由でもあります。
2026年度版:新体制と今後の展望

2026年度、立命館大学ラグビー部はさらなる高みを目指します。2025年春の成功体験を糧に、秋のリーグ戦での「関西制覇」と「大学選手権ベスト4以上」が現実的な目標として視野に入ってきました。ここでは、小寺亮太ヘッドコーチを中心とした新シーズンの体制と、チームが掲げる戦略的フォーカス、そしてファンが期待すべきポイントについてまとめます。
小寺亮太HC体制2年目の真価
就任1年目で結果を出した小寺ヘッドコーチですが、真価が問われるのは2年目となる2026年シーズンです。相手チームも立命館の戦術を研究してくる中で、さらにその上を行くオプションを用意できるかが鍵となります。具体的には、アタックのテンポアップと、ディフェンスでのブレイクダウン(ボール争奪戦)の激しさを追求しています。また、昨シーズンの主力メンバーが多く残るアドバンテージを活かし、春先から完成度の高いラグビーを展開することが期待されます。コーチ陣と選手の信頼関係も深まり、チームの一体感は最高潮に達しつつあります。
2026年シーズンのキーマンと戦術的焦点
2026年のチームの中心となるのは、昨年の優勝を知る新4回生・3回生たちです。特に、ゲームコントロールを担うハーフ団(SH/SO)と、最前線で体を張るフロントロー(PR/HO)の安定感が勝敗を分けます。戦術的には、キックを有効に使ったエリアマネジメントに加え、自陣からでもボールを繋いで攻めるアグレッシブな姿勢が見られるでしょう。また、選手層の厚み(デプス)を強化することも課題であり、Bチーム以下の底上げや、ルーキーの早期抜擢も積極的に行われる見込みです。春季大会から若手を試し、秋にベストメンバーを揃える戦略が予想されます。
「関西王者」奪還へのロードマップ
2026年のロードマップは明確です。まずは春季トーナメントでの連覇、または上位進出で勢いをつけること。そして夏合宿でフィジカルとチーム力を極限まで高め、秋のリーグ戦に突入します。最大の山場となるのは、やはり天理大学、京都産業大学との直接対決です。これらの試合に勝利し、関西リーグ優勝を果たすことが、大学選手権での躍進に直結します。ファンにとっては、聖地・花園ラグビー場で立命館の紺とグレーのジャージが躍動し、久々の関西優勝カップを掲げる姿を見ることが、最大の願いであり楽しみとなるでしょう。
まとめ:古豪復活から常勝軍団へ
立命館大学ラグビー部は、1929年の創部からまもなく100周年を迎えようとしています。中林正一監督時代の栄光、鬼束竜太ヘッドコーチによる変革期を経て、現在は小寺亮太ヘッドコーチのもとで新たな歴史を刻み始めました。特に2025年春季トーナメントでの初優勝は、チームが正しい方向に進んでいることの証明であり、2026年度シーズンの飛躍を予感させる出来事でした。
歴代監督たちが築き上げてきた「FWの強さ」と「ひたむきさ」に、現代ラグビーの「スピード」と「判断力」が融合し、今の立命館ラグビーは非常に魅力的なチームへと進化しています。関西大学Aリーグでの覇権奪回、そして大学選手権での上位進出へ。選手、スタッフ、そしてファンの想いを一つに、立命館大学ラグビー部の挑戦は続きます。
もしあなたが大学ラグビーファンなら、ぜひ一度スタジアムに足を運び、生まれ変わった立命館大学ラグビー部の熱い戦いを現地で体感してください。



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