「青学のFWに、とんでもない推進力を持つ選手がいる」
関東大学対抗戦Aグループの激闘の中で、一際大きな存在感を放つ選手がいます。青山学院大学ラグビー部のFWリーダー格、荒川真斗(あらかわ まさと)選手です。186cm、110kgという恵まれた体格を武器に、ボールを持てば必ずゲインラインを突破し、ディフェンスでは強烈なタックルで相手を仰向けに倒す。その姿は、まさにチームの心臓部と呼ぶにふさわしいものです。
2025年シーズン、強豪・明治大学戦では敗戦の中にあっても「モスト・インプレッシブ・プレーヤー(MIP)」に選出されるなど、その評価は大学ラグビー界全体で急上昇しています。なぜ彼はこれほどまでに評価されるのか?そして、高校時代からどのような道を歩んできたのか?
この記事では、荒川真斗選手のプロフィールや経歴、プレースタイルの凄み、そして気になる今後の進路について深掘りしていきます。
- 圧倒的なフィジカル:186cm/110kgのサイズが生む破壊力
- 高い評価:関東大学オールスター選出や対抗戦MIP獲得の実績
- 万能性:ロック(LO)とナンバーエイト(No.8)をこなす器用さ
- リーダーシップ:ゲームキャプテンを任される信頼の厚さ
青山学院大学ラグビー部 荒川真斗のプロフィールと経歴
まずは、大学ラグビー界で注目を集める荒川真斗選手の基本的なプロフィールと、これまでの歩みを確認していきましょう。恵まれた体格だけでなく、名門校で培われたラグビーIQの高さも彼の大きな武器です。
基本プロフィールと身体データ
荒川選手は、現代ラグビーのフォワードに求められる「サイズ」と「機動力」を高いレベルで兼ね備えています。身長186cm、体重110kgというスペックは、大学レベルでは頭一つ抜けた存在であり、リーグワンの強豪チームの選手と比較しても遜色ありません。
特に注目すべきは、その体重がありながらも80分間走り続けられるフィットネスです。単に体が大きいだけでなく、コンタクトの瞬間に爆発的なパワーを発揮できる筋肉の質、そして密集戦からすぐに起き上がって次のプレーに向かうリカバリーの速さが、彼のスタッツを支えています。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 氏名 | 荒川 真斗(あらかわ まさと) |
| 生年月日 | 2004年3月26日 |
| 身長 / 体重 | 186cm / 110kg |
| 出身高校 | 國學院大學久我山高校 |
| ポジション | LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8 |
| 学部 | 青山学院大学 法学部 |
國學院大學久我山高校時代の実績
荒川選手のルーツは、高校ラグビー界の名門「國學院久我山」にあります。「久我山」といえば、伝統的に強力なフォワードと展開力を併せ持つスタイルで知られていますが、荒川選手はその環境で自身のフィジカルとスキルを磨き上げました。
高校時代からサイズに恵まれていた彼は、セットプレー(スクラムやラインアウト)の核として活躍。花園(全国高校ラグビー大会)を目指す激しい競争の中で、規律を守りながら激しく戦うメンタリティを養いました。特に久我山の特徴である「走り勝つラグビー」に対応するため、大型選手でありながらフィールドを縦横無尽に駆け回る走力がこの時期に培われたと言えます。
青山学院大学でのポジション遍歴
青山学院大学入学後、荒川選手はその万能性をさらに開花させました。下級生の頃から将来を嘱望され、FWのバックファイブ(LO、FL、No.8)の複数ポジションでプレー経験を積んでいます。
通常、大学ラグビーでは専門職化が進む傾向にありますが、彼はチーム事情や対戦相手の相性に合わせて役割を変えることができます。スクラムの押し込みと空中戦が求められるロック(LO)、フィールドプレーでの運動量が求められるフランカー(FL)、そして攻守の要となるナンバーエイト(No.8)。これら全てを高水準でこなすポリバレントな能力は、選手層の厚さに課題がある大学チームにとって、代えの利かない貴重な戦力となっています。
2025年シーズンの躍動と関東大学オールスター
大学4年目を迎えた2025年シーズン、荒川選手の存在感はピークに達しました。春季大会から主力としてチームを牽引し、6月に行われた「関東大学ラグビーオールスターゲーム」にも選出されています。これは、他大学の監督やメディアからもその実力が認められている証拠です。
オールスター戦では、帝京大学や明治大学、早稲田大学といった優勝争いの常連校のスター選手たちと肩を並べてプレー。普段とは異なるハイレベルな環境でも物怖じすることなく、自慢のボールキャリーで会場を沸かせました。この経験が、秋の対抗戦でのさらなる自信へと繋がっています。
対抗戦でのMIP選出とその意義
2025年9月に行われた明治大学戦は、荒川選手の評価を決定づける試合となりました。スコア自体は7-91と明治大学の猛攻を受ける苦しい展開でしたが、その中で孤軍奮闘し、試合後に「モスト・インプレッシブ・プレーヤー(MIP)」に選ばれたのが荒川選手でした。
大差がついた試合で敗戦チームからMIPが選ばれることは極めて異例です。しかし、どれだけ点差が開いても決して諦めず、何度も相手ディフェンスに体をぶつけ、激しいタックルを繰り返した彼の姿勢は、観る者の心を打ちました。この受賞は、彼が単なる「上手い選手」ではなく、チームのために体を張り続けられる「強いハートを持った選手」であることを証明しています。
プレースタイル徹底分析|荒川真斗の武器とは

ここでは、荒川真斗選手がなぜこれほどまでに評価されるのか、その技術的・身体的な特徴を3つの視点から分析します。現代ラグビーのトレンドに合致した彼のスタイルは、見る者を魅了するだけでなく、戦術的にも極めて高い価値を持っています。
重戦車のごときボールキャリー
荒川選手の最大の魅力は、なんといってもその推進力です。ボールを持った瞬間の「一歩目」の強さが際立っており、相手ディフェンダーが二人掛かりで止めに入っても、簡単には倒れません。
彼はコンタクトの瞬間に重心を低く保ちつつ、足を掻き続ける(レッグドライブ)技術に長けています。これにより、タックルを受けてからもさらに2メートル、3メートルと前に進むことができ、味方の攻撃テンポを生み出します。特にゴール前5メートルなどの密集戦では、彼の突進が得点の起点となるケースが数多く見られます。「困ったときは荒川に預ける」というチームの信頼は、この確実なゲイン能力に基づいています。
セットプレーの安定感とラインアウト
186cmの長身と強靭な体幹は、セットプレーにおいても大きな武器となります。特にラインアウトでは、ジャンパーとしての高さはもちろん、空中でのボディバランスの良さが光ります。
相手チームの分析を上回るタイミングで跳び上がり、確実にボールを確保する。あるいは相手ボールのラインアウトに対してプレッシャーをかけ、スティール(ボール奪取)を狙う。彼の存在は、空中戦における制空権争いで青山学院大学に優位性をもたらしています。また、スクラムにおいても、ロックとしてプロップを後方から力強く押し込むパワーがあり、セットプレーの安定化に大きく貢献しています。
献身的なディフェンスとワークレート
派手なボールキャリーに目が奪われがちですが、荒川選手の真価は「ボールを持っていない時」の動きにもあります。豊富な運動量(ワークレート)を活かし、一度タックルした後すぐに起き上がり、次の守備位置へと戻るリロードの速さは特筆すべき点です。
近場の密集サイドにおける泥臭いディフェンスも厭わず、相手の大型FWに対して真っ向勝負を挑みます。また、ブレイクダウン(ボール争奪戦)においても、強靭なフィジカルを活かして相手を乗り越え(オーバー)、味方のボール確保をサポートする仕事人としての一面も持っています。攻守両面でサボらない姿勢が、チームメイトからの信頼を集める最大の理由です。
リーダーシップとチームへの影響力
最上級生となった荒川選手は、プレーだけでなく精神的な支柱としてもチームに欠かせない存在です。苦しい時間帯にこそ声を出し、体を張る彼のリーダーシップについて解説します。
ゲームキャプテンとしての振る舞い
2025年シーズン、怪我やコンディション調整の影響で主将が不在の際、荒川選手がゲームキャプテンを務める機会がありました。特に印象的だったのは、前述した明治大学戦でのキャプテンシーです。
試合直前のメンバー変更というスクランブル体制の中で、彼は「今までで一番ワクワクしている」とチームを鼓舞しました。劣勢に立たされても下を向かず、円陣で常に前向きな言葉をかけ続ける姿勢。それは、恐怖心や不安を抱える下級生たちにとって、どれほど心強かったことでしょう。彼のリーダーシップは、言葉だけでなく「背中で語る」タイプであり、その姿勢がチームの結束力を高めています。
下級生への良き手本として
青山学院大学ラグビー部は、帝京や明治といった絶対王者に対し、チャレンジャーとして挑む立場にあります。そのような環境下で、荒川選手が見せる「高い基準(スタンダード)」は、後輩たちにとって最高の手本となっています。
練習中の真剣な眼差し、ウエイトトレーニングに取り組む姿勢、そして試合での妥協なきプレー。これら全てが、「対抗戦Aグループで戦うとはどういうことか」を無言のうちに伝えています。彼に憧れて入学を目指す高校生や、彼のプレーを真似て成長する下級生FWも多く、荒川選手がチームに残した遺産(レガシー)は計り知れません。
「青学ラグビー」を体現する存在
青山学院大学のラグビーは、近年着実に力をつけています。スマートさと泥臭さを融合させたスタイルを目指す中で、荒川選手はその象徴的な存在と言えるでしょう。
法学部という学業の負担が大きい学部に在籍しながら、トップレベルのパフォーマンスを維持する文武両道の姿勢。そして、ラグビーに対する真摯な取り組み。彼はまさに、青山学院大学が掲げる「良きラガーマンである前に、良き学生であれ」という理念を体現しています。大学スポーツの本来あるべき姿を示すアスリートとして、彼の影響力はグラウンドの外にも及んでいます。
荒川真斗の今後とリーグワンへの期待

大学ラグビーでの活躍を経て、ファンの関心は「卒業後の進路」へと向かっています。彼のポテンシャルは、国内最高峰リーグ「リーグワン」で通用するのでしょうか。
リーグワンでの活躍の可能性
結論から言えば、荒川選手がリーグワンの舞台で活躍する可能性は極めて高いと考えられます。186cm/110kgというサイズは、日本のプロリーグにおいても十分に戦えるスペックです。
特に、日本代表選手であるテビタ・タタフ選手(ボルドー/元サンゴリアス)を目標に掲げていることからも分かるように、彼は自身のフィジカルを活かしたプレーを志向しています。リーグワンのチームは、即戦力となる日本人大型FWを常に求めており、コンタクトが強く、かつ仕事量が多い荒川選手のようなタイプは、どのチームにとっても喉から手が出るほど欲しい人材です。
求められる役割と課題
プロの世界で活躍するためには、現在の強みを伸ばしつつ、さらなるレベルアップも求められます。例えば、外国人選手がひしめくリーグワンのFW第3列(FL/No.8)やロック(LO)でポジションを確保するには、セットプレーの専門性をより高める必要があるかもしれません。
また、試合展開を読む戦術眼や、よりスピーディーな試合運びへの適応も課題となるでしょう。しかし、彼が大学4年間で見せた成長曲線や、貪欲に学ぶ姿勢を考えれば、これらの壁も乗り越えていくことが期待できます。将来的には、チームの主力としてだけでなく、日本代表候補に名乗りを上げる可能性も秘めています。
ファンが期待する「次のステージ」
多くのラグビーファンが、荒川選手のプレーを大学卒業後も見たいと願っています。彼がどこのチームのジャージを着ることになるのか、公式発表が待たれます。
アグレッシブな攻撃ラグビーを展開するチームなのか、堅守速攻を旨とするチームなのか。いずれにせよ、荒川選手が加入すれば、そのチームのFW層が厚くなることは間違いありません。新人として開幕戦からベンチ入りし、インパクトプレーヤーとして流れを変える——そんなシーンが見られる日も、そう遠くはないはずです。
まとめ:荒川真斗、その「突破力」は未来へ続く
青山学院大学ラグビー部の荒川真斗選手について、その経歴からプレースタイル、将来性までを解説してきました。彼の魅力は、単なる体の大きさだけではありません。
- 規格外のフィジカル:186cm/110kgを操る高い身体能力
- 不屈のメンタリティ:劣勢でも輝く闘争心とキャプテンシー
- 高い汎用性:LOからNo.8までこなす戦術的な柔軟性
國學院久我山高校から青山学院大学へと進み、着実にステップアップを重ねてきた荒川選手。2025年シーズンに見せた対抗戦での鬼気迫るプレーやMIP獲得は、彼のラグビー人生における一つの通過点に過ぎません。
これから彼が挑むであろうリーグワン、そしてその先のステージでも、持ち前の「突破力」で壁を打ち破り続けてくれることでしょう。私たちは、荒川真斗という稀代のラガーマンが、日本ラグビー界の新たなスターとして羽ばたく瞬間を目撃しようとしています。今後の彼の動向から、片時も目が離せません。



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