大学ラグビー界で圧倒的なフィジカルと組織力を誇り、「深紅の王者」として君臨し続ける帝京大学。2026年現在、その強さは揺るぎないものとなっており、毎年入れ替わるメンバーの質の高さには驚かされるばかりです。
「なぜ帝京大学はこれほどまでに強いのか?」
「主力選手たちはどこの高校から来ているのか?」
その答えは、単にラグビー名門校から選手を集めているだけではない、緻密なスカウティングと育成システムにあります。本記事では、最新の2025-2026シーズン主力メンバーの出身高校データを紐解きながら、帝京ラグビーの強さの根源に迫ります。
- 2025-2026シーズンの主力メンバーと出身高校一覧
- ポジション別にみる出身校の傾向と特徴
- 名門校だけでない「意外な経歴」を持つ注目選手
帝京大学ラグビー部メンバーと出身高校に見る「勝利の方程式」
帝京大学ラグビー部のメンバー構成を見ると、出身高校には明確な傾向と、それを超越した「帝京魂」とも呼べる共通項が存在します。全国の強豪校からキャプテンクラスが集結するのはもちろんですが、彼らが帝京を選ぶ理由と、そこで磨かれる力こそが真の強さの秘密です。
黄金世代を率いるリーダーたちの出身校
2025年度チーム(2026年1月時点の4年生)を牽引したのは、主将の大町佳生選手です。彼の出身校である長崎北陽台高校は、伝統的にスキルフルで判断力に優れた選手を輩出することで知られています。また、副将の生田弦己選手は御所実業、FWリーダーの蔵森晟選手は東福岡と、高校ラグビー界の「横綱」とも言える強豪校の出身者がリーダーシップを発揮しています。彼らは高校時代から全国大会の修羅場を経験しており、大舞台でも動じないメンタリティをすでに備えて入学してきているのです。
大阪桐蔭・桐蔭学園との強固なパイプライン
帝京大学のメンバーリストで特に目立つのが、大阪桐蔭高校と桐蔭学園高校(神奈川)出身者の多さです。例えば、圧倒的なフィジカルでスクラムを支えるPR上野凌大選手(大阪桐蔭出身)のように、高校時代から体作りが完成されている選手が多く入学します。この2校は大学ラグビーに即応できる「戦術理解度」と「フィジカル」を兼ね備えた選手を育成しており、帝京大学の求める「激しいコンタクト」に適応しやすい土壌があると言えます。
東福岡高校出身者がもたらす「展開力」
「ヒガシ」こと東福岡高校出身の選手も、帝京大学には欠かせない存在です。LO坪根章晃選手やNO8内藤基選手など、FW・BK問わずボール扱いに長けた選手が多く在籍しています。東福岡出身選手の特徴は、密集戦だけでなくオープンフィールドでのランニングスキルが高いことです。これにより、帝京大学はFWが強いだけでなく、グラウンドのどこからでもトライを狙えるアタッキングラグビーを展開できるのです。
京都成章・御所実業からの「ディフェンス職人」
鉄壁のディフェンスを支えるのが、京都成章や御所実業といった「守備の堅いチーム」出身の選手たちです。PR森山飛翔選手(京都成章出身)やLO鈴木彪馬選手(御所実業出身)のように、規律を守り、体を張り続けられる選手がパックの中核を担っています。派手なプレーよりも泥臭い仕事を厭わない彼らの存在が、帝京大学の「崩れないラグビー」を下支えしています。
無名校・新興校からの原石発掘力
帝京大学のスカウティングの凄みは、必ずしも全国優勝常連校だけで固めないところにあります。例えば、2025年度ルーキーとして注目されたPR染谷昌宏選手は、スポーツ推薦の激戦区ではない成城学園高校の出身です。このように、個人のポテンシャルがあれば出身高校の知名度に関わらず採用し、大学の環境で一気に才能を開花させる育成力も帝京の大きな武器となっています。
フォワード(FW)陣の出身高校とプレースタイル分析

ラグビーの勝敗の8割を決めると言われるフォワード陣。帝京大学のFWは「学生界最強」との呼び声高く、その重量級パックを構成するメンバーの背景には、高校時代からの徹底した鍛錬が見て取れます。
第1列(PR・HO):スクラム最前線の猛者たち
スクラムの柱となるプロップ(PR)やフッカー(HO)には、高校時代から体重100kgを超える大型選手が揃っています。京都成章出身の森山選手や、名護高校(沖縄)出身のHO沼澤健一郎選手のように、全国各地から「動ける巨漢」が集結しているのが特徴です。特に沖縄県や地方の強豪校出身者がフロントローに多いのは、帝京大学が全国規模で「フィジカルの原石」を探し求めている証拠でしょう。彼らは入学後の食事管理とウエイトトレーニングでさらに巨大化し、他大学を圧倒します。
第2列(LO):空中戦と突破役のハイブリッド
ロック(LO)のポジションには、身長185cm〜190cmクラスの選手が並びます。ここでは東福岡や御所実業など、セットプレーの強さに定評のある高校の出身者が目立ちます。また、近年では外国人留学生に頼りきりにならず、日本人ロックの大型化に成功している点も見逃せません。高校時代に花園で活躍した大型選手が、帝京大学のハードな練習を通じて「80分間走り続けられるスタミナ」を身につけ、世界レベルのフィジカルへと進化しています。
第3列(FL・NO8):攻守の要となる仕事人
フランカー(FL)やナンバーエイト(NO8)は、チームで最も運動量が求められるポジションです。ここでは小倉高校(福岡)出身のFL吉田有吾選手のように、進学校出身でありながらクレバーさと激しさを兼ね備えた選手が輝きを放ちます。また、バックローの選手たちは複数のポジションをこなせるユーティリティ性を持つことが多く、これは高校時代に幅広い役割を任されていたリーダー格の選手が多いことに起因しています。
バックス(BK)陣の出身高校と攻撃オプション
強力なFWが獲得したボールを、確実に得点へと結びつけるバックス陣。帝京大学のBKは「フィジカルで当たれる」ことが前提条件となっており、出身高校の傾向にもその特徴が表れています。
ハーフ団(SH・SO):ゲームを支配する司令塔
スクラムハーフ(SH)とスタンドオフ(SO)は、チームの頭脳です。尾道高校(広島)出身のSH赤迫幸知選手のように、テンポの良い球出しと激しいディフェンスができる選手が重用されます。また、SOには大町主将(長崎北陽台)のように、自らラインブレイクもできれば、キックでエリアも取れる万能型が配置されます。彼らの出身校は、戦術的に高度なラグビーを展開する高校が多く、大学入学時点で既に高いラグビーIQを持っています。
センター(CTB):攻守の要塞となるフィジカル
帝京大学のセンターは、相手FWとも対等に渡り合えるフィジカルが求められます。ここでは御所実業出身の生田選手のように、タックルの強さに定評のある選手や、フィジー等の留学生選手が融合しています。高校時代から「前に出るディフェンス」を叩き込まれている選手が多く、帝京の堅守速攻を体現するポジションと言えます。当たり負けしない体の強さは、高校時代の基礎に加え、大学での徹底した肉体改造の賜物です。
バックスリー(WTB・FB):決定力のあるフィニッシャー
ウイング(WTB)とフルバック(FB)には、一瞬のスピードで局面を変えるランナーが配置されます。桐蔭学園や流通経済大柏といった、関東の強豪校出身者が多く名を連ねる傾向があります。また、キック処理能力やカウンターアタックのセンスも問われるため、高校時代にセブンズ(7人制ラグビー)などで広いスペースでのプレー経験が豊富な選手が活躍しています。彼らはFWが作ったチャンスを確実にトライにする決定力を持っています。
帝京大学が選ばれる理由とスカウティングの極意
なぜ、これほどまでに有力な選手が帝京大学に集まるのでしょうか。それは単に「強いから」という理由だけではありません。出身高校の指導者たちとの信頼関係や、大学卒業後の進路まで見据えた育成環境が評価されているからです。
高校指導者との長年の信頼関係
帝京大学のスタッフは、全国の高校ラグビー現場に頻繁に足を運び、指導者と密なコミュニケーションをとっています。単にプレーが上手い選手を引き抜くのではなく、「帝京の文化に合う人間性か」「4年間で伸びる素質があるか」を見極めています。高校の監督たちも「帝京に預ければ人間的にも成長させてくれる」という信頼があるため、チームの中心選手を送り出すのです。この循環が、毎年の安定したリクルートに繋がっています。
「人間力」を重視する採用基準
帝京大学ラグビー部は、競技力だけでなく学業や寮生活での規律を非常に重視します。出身高校を見ると、文武両道を掲げる進学校や、規律に厳しい伝統校が多いのはそのためです。ラグビーのスキルが高くても、チームの和を乱す選手や、努力を継続できない選手は主力として定着できません。スカウティングの段階で、プレー映像だけでなく、普段の生活態度や性格までリサーチしていると言われています。
最新鋭の施設と医療体制の魅力
出身高校の選手たちが帝京大学を選ぶ大きな理由の一つに、充実した環境があります。トップリーグ(リーグワン)のチームにも引けを取らないウエイトトレーニング施設、専属の栄養士による食事管理、充実したメディカルスタッフなど、アスリートとして成長するためのすべてが揃っています。高校生ながらにプロ意識の高い選手ほど、この環境に魅力を感じて門を叩くのです。
2026年以降の帝京ラグビーを担う次世代の星たち

現在2026年の視点からチームを見ると、1・2年生(2024・2025年度入学者)の台頭が著しくなっています。彼らは、大学選手権連覇を続ける「最強の帝京」を見て育ち、その一員になることを熱望して入部してきた世代です。
下級生からレギュラーを狙う逸材たち
近年では、上級生優先という序列はなく、実力があれば1年生から積極的にAチーム(一軍)に起用されます。特に、花園(全国高校ラグビー大会)で活躍した直後の選手が、春シーズンから頭角を現すケースが増えています。彼らは高校時代からの知名度だけでなく、大学ラグビーのスピードとコンタクト強度にいち早く適応する能力を持っています。高校日本代表候補などの肩書きを持つ選手も多く、層の厚さは年々増しています。
ポジション争いが加速させる成長
帝京大学では、同じポジションに高校日本代表クラスが複数人いることが珍しくありません。例えば「高校時代は絶対的なエースだった」選手でも、大学ではCチームやDチームからスタートすることは日常茶飯事です。この激しい部内競争こそが、選手の潜在能力を引き出します。「試合に出るためには、昨日の自分を超えなければならない」という環境が、出身高校に関わらず全選手を成長させるのです。
グローバル化するメンバー構成
出身高校の枠組みだけでなく、海外からの留学生や、海外の高校出身者の存在も重要度を増しています。彼らは日本人の高校生とは異なるラグビー文化や身体能力を持ち込んでおり、チームに良い刺激を与えています。日本人選手も彼らと日常的にコンタクトすることで、国際試合でも通用するフィジカルスタンダードを身につけることができます。この多様性もまた、帝京大学の強さの一部です。
まとめ:帝京大学ラグビー部の強さは多様な「高校」の融合にあり
帝京大学ラグビー部の強さの秘密を、メンバーと出身高校という視点から分析してきました。そこには、特定の高校に依存しない多様性と、どんな選手でも「帝京色」に染め上げる育成システムが存在します。
- 主将クラスの統率力を持つ選手が全国から集結している
- 大阪桐蔭・東福岡など強豪校からの安定した供給ラインがある
- 無名校や進学校出身者も、環境と努力で主力に成長している
- ポジションごとに求められる特性に合った高校出身者が配置されている
2026年現在も、帝京大学は大学ラグビー界の先頭を走り続けています。次に試合を観戦する際は、選手の背番号だけでなく、「どの高校で育ち、どうやって帝京で開花したのか」というバックグラウンドにも注目してみてください。きっと、深紅のジャージがより一層輝いて見えるはずです。まずは、気になる選手の出身高校をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。



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